日本からアンダルシアへフラメンコを見に来る方に向けて、この時期特有のコンサートの形態、夏のフェスティバルについて、おすすめ情報を紹介したいと思う。
今日紹介するフェスティバルとは、様々なアーティストが登場する長時間の公演のこと。ほとんどの場合カンテ、ギター、バイレの3つのジャンルを全て含んだ内容で、一日で多くのアーティストを観ることが出来、フラメンコの全体像を掴むことが出来る。
実力を試されるような雰囲気のペーニャとは異なり、フェスティバルではアーティストがすべてを出し切る、実力を振り絞るような形態ではなく、短い持ち時間の中で自分の一番得意とするところを出すことが多い。
アンダルシアでは、ほとんどの町にそれぞれのフェスティバルがあり、その中のいくつかはかなり有名である。
例えば、レブリハのカラコラ、ウトレラのポタヘ、モロンのガスパチョなどが一番の有名どころであるが、近年のプログラムではザ・フラメンコというアーティストよりも他ジャンルの音楽に傾倒している面々の名前が目立つようになっている。それも悪いことではないが、せっかくのフェスティバルのフラメンコらしさから少々離れてしまっているのは残念だ。
私個人としては、大フラメンコ愛好家の方には、以下の3つをおすすめしたい。
とても歴史の長いフェスティバルで、その長い歴史の中で、たくさんの重要なアーティストたちが出演した香りの残る場所である。常に正統派のプログラムで、会場の地面にはハーブが敷きつめられていて、フラメンコが流れる会場に芳しい香りを残してくれる。プエブラ・デ・カサージャの町はこのフェスティバルにかなり力を入れており、他にもたくさんのフラメンコ関連のイベントがある。メリットとしては、フランシスコ・モレーノ・ガルバン近代芸術美術館を訪れることが出来る点(行く機会があればこちらは必須)。デメリットは宿泊施設に乏しい点だ。
*1969年の写真。アンダルシアの中で最も古いフェスティバルの一つなのである。
2)カサベルメハ(マラガ)のフェスティバル・デ・カンテ・グランデ
小さいがとても素敵なフェスティバル。加えて、こちらのフェスティバルは食べ物、飲み物の持ち込みが出来るので、フラメンコを見聞きしながら、愛好家の人たちとそれを共有し、素敵な時間が過ごせる。マラガの山地にあるこの小さな町では「オジャ・フラメンカ」と呼ばれる夏のフェスティバルの前夜祭的なイベントもあり、こちらもかなりおすすめ。もし行かれる際は、カサベルメハ名物料理、「プラト・デ・ロス・モンテス」(ミガスというパンを細かくして、味付け揚げ焼きにしたものと、マリネされた肉の上に目玉焼きが乗ったもの)を試すのもお忘れなく。
3)ロタ(カディス)のフラメンコ・フェスティバル・アランケ・ロテーニョ
フェスティバルの名前となっているアランケとはロタの名物料理である。濃度の高いガスパチョのような料理で、トマト、ニンニク、パンなどがペースト状になっていて、とても美味しく、栄養価も高い。入り口で、フェスティバルの名前入りの土器のコップに入れて来場者に配られ、容器はお土産として持ち帰ることが出来る。
会場は小学校の校庭で、お祭りらしい、夏らしい雰囲気がある。またロタの美味しいワインや美しいビーチを楽しむ絶好の機会でもある。
*ロタのフェスティバルのポスター
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